クビ最終日
ドイツでの3年間の会社生活が、今日で終わりました。
最終出社日。
あっけないほど静かに、何も起きないまま、その日が終わりました。
3年間働いたドイツの会社を、僕はクビになった。
理由は「業績悪化」。でも実際は「お前はいらない」と言われたのと同じだ。
最後の日くらい笑って終わりたいと思っていた。
でも、胸の奥から込み上げてくるのは、どうしようもない惨めさと喪失感。
この記事では、誰にも言えなかった私の「最後の日」を赤裸々に書きます。
最終出社日の朝
朝、目が覚めた瞬間から胸が重かった。
「今日で終わりだ」と思うだけで、体が動かない。
昨日までは、“まだ明日がある”という希望でなんとか動けた。
でも、今日は違った。
“もう戻れない”という現実が心を圧し潰す。
正直、もう心が折れていた。
仲のいい同僚は出社していない。
感謝を伝えたい人も、ほとんど在宅勤務か出張中。
私が今日で会社を去ることを知らない人さえいる。
それでも、出社しようと思った。
それでも、「ちゃんとけじめをつけなきゃ」と自分を奮い立たせて家を出た。
誰もいないオフィス
オフィスに入ると、驚くほど静かだった。
午前中、残っていた仕事を淡々と片づけた。
誰も声をかけてこない。
隣の席も、前の席も空席。
パソコンのキーボードを叩く音だけが、部屋に響いていた。
メールをチェックしても、特別な連絡はなし。
まるで僕なんて最初からいなかったみたいに、
オフィスは淡々と、時間だけが流れていく。
上司との最後の1on1
昼前、上司に呼ばれた。
クビを告げたその上司との、最後の1on1だった。
彼は神妙な顔をして、こう言った。
「会社が困難な状況で、本当に申し訳ない」
「転職市場は今とても厳しい。200社応募しても受からないのは理解できる」
「それでも、あなたと働けてよかった。ありがとう」
聞きながら、心のどこかがスーッと冷めていくのを感じた。
「今さら何を言ってるんだよ」
「もうクビにしたじゃないか」
そう思いながらも、私は小さくうなずき、笑顔で言った。
「仕事や生活をサポートしてくれてありがとう。
特に私が開催した日本祭りであなたが家からかき氷マシーンを持ってかき氷作ってくれたのは本当にいい思い出です。楽しかったです。
本当にありがとうございました。」
心の中では涙が出るほど悔しかった。
でも、最後くらい、ちゃんと大人でいたかった。
【思い出と、感謝】
机の上を片づけ、私物をリュックに詰める。
片づけながら、色んな思い出がよみがえる。
チームで笑いながらランチした日。
ドイツ語がわからなくて戸惑っていた僕に、
優しくフォローしてくれた同僚。
机の引き出しから、けん玉とだるま落とし、折り紙が出てきた。
そう、あの日本祭りイベント。

僕が企画して、社内で開催した「Japan Festival」。
同僚たちと一緒にサッカー日本代表のユニフォームを着て、
手作りの飾り付けをして、みんなで写真を撮った。

同僚とアジアスーパーで一緒に日本食を買い出ししたり、
上司が家からかき氷マシーンを持ってきてくれて、
オフィスでかき氷を配った。

その光景を思い出して、胸が熱くなった。
「もうここには帰ってこないんだな」
【最後のメール】
机を片づけ、パソコンを返却し、会社の鍵を渡した。
最後に、会社の全メンバーに感謝のメールを送った。
親愛なる同僚の皆さんへ、
今日が私の最終出社日です。
ドイツでの初めての仕事、初めての海外生活で、皆さんに支えられました。
日本祭りや写真撮影会は、一生の思い出です。
またいつか、どこかでお会いできる日を願っています。
ありがとうございました。
ー デラログ
送信ボタンを押した瞬間、涙が溢れた。
【届いたメッセージたち】
数分後、同僚からメールが届いた。
“Wish you all the best for the future, Dera!”
「デラさん、今後のご活躍をお祈りしています!」
“You always brought happiness to the company.”「あなたはいつも会社に幸せをもたらしてくれました。」
“It was a pleasure working with you.”「あなたと一緒に仕事ができて嬉しかったです。」
“All the best Dera, hope to meet you sometime.”「デラさん、頑張ってください。いつかお会いできるのを楽しみにしています。」
“When I was in Karlsruhe, I loved talking with you during breaks. I’ll miss that so much 😢”「カールスルーエにいた頃は、休憩時間にあなたと話すのが大好きでした。本当に寂しくなります😢」
ベトナム出身の男性の同僚からはこう届いた。
“Oh no 😭😭😭 I miss you so much because I like you and our colleagues.”
「ああ、大変😭😭😭 あなたと私たちの同僚が好きだから、とても寂しいです。」
インド出身の男性の同僚からは、
“We will miss your presence in the company. Let’s have coffee sometime, me and Swadha will invite you.”
「会社にあなたがいなくなると寂しくなりますね。いつかコーヒーでも飲みましょう。私とスワダが誘いますよ。」
ドイツ出身の女性の同僚からは、
“I’m so sorry you have to leave. You always brought joy to our office. Please talk to me anytime, I’m here for you.”
「辞めてしまうなんて本当に残念です。あなたはいつもオフィスに喜びをもたらしてくれました。いつでも話しかけてください。いつでもあなたの味方です。」
ナイジェリア出身の女性の同僚からは、
“Everyone will be sad to see you go. I’m sure this will open many beautiful doors for you.”
「君が去るのは皆悲しいだろう。きっと、この旅で多くの素晴らしい扉が開かれるだろう。」
そして残っていた数人の同僚にだけ、「今までありがとう」と直接声をかけた。
みんな優しい言葉を返してくれた。
でも、その言葉が逆に刺さる。
「俺だけクビになったんだよな……」
笑顔の裏で、心の中ではそうつぶやいていた。
「もう彼らの同僚ではない」という現実が痛かった。
【会社を去る瞬間】
午後2時。
上司に「もう帰っていい」と言われた。
オフィスのドアの前に立ち、
深く一礼をした。
誰も見ていなかった。
でも、最後のけじめとして。
「3年間、ありがとうございました」
ドアを閉めて、外に出た瞬間、
とても惨めな気持ちになった。
太陽がやけに眩しくとても天気がいい日だった。
自転車をゆっくりこぎながら帰った。
空は晴れ渡っているのに、
心の中は嵐のように荒れていた。
途中、
「なんで俺だけクビになったんだ!」
「ふざけんなよ!」
と叫んだ。
怒りと惨めさと感謝と寂しさと虚無感で
自分でも意味わからない程ごちゃごちゃな感情になっていた。
【そして、今】
家に帰って、マックを食べて、ビールを飲んだ。
やけになって暴飲暴食した。
もう、何も味がしなかった。
3年間の努力が、あっけなく消えてしまった。
「これで終わりだ」
3年間の仕事が終わった。
「俺、何やってたんだろう……」
「頑張ったのに、報われなかったな……」
そう呟きながら、ベッドに倒れ込んだ。
不安で、何も考えられない。
もう何もやる気が起きません。
転職活動も、YouTubeも、ブログも、しばらく休みます。
正直疲れました。
【あとがき】
この3年間で出会った同僚たちは、本当に優しかった。
国籍も、文化も、言語も違うのに、
人の優しさだけは世界共通だった。
だからこそ、余計に苦しい。
憎めない人たちばかりだったから。
それでも、明日からはひとりで立ち向かうしかない。
涙を拭いて、少しずつまた歩き出す。
ドイツでのこの経験は、絶対に無駄じゃない。
いつか笑って「こんな日もあった」と言える日が来るまで。
目指せドイツでぬくぬくデータサイエンティスト
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